ネットで小説を書いている人間が駄文を連ねる場所。

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今回は短め。
黒衣終わらせてから、なんだか気勢が上がらない日々。
ちょっと充電が必要なのかも知れないのかな。








Breakers! 4


 宇佐見綾が最近気になっているのは、仁科恵一という男である。
 つい最近まで同級生だった恵一に、とつとつと興味が湧いてしまうのだ。
 もっとも、それは淡い恋心という類のモノではない。言うなれば、彼女の趣味を最大限に満たしてくれる存在だということだ。
 ストーキング。宇佐見綾にとっての至高の喜びである。
 十八歳にして発育の悪い胸と身長も、身を隠すには丁度良い。仮に見つかったとしても、悪戯心が沸いた中学生にしか見えないことも幸いした。
 なんとなく、誰かの後をつけるという子供じみた遊びを綾が始めてから三年になる。それがいつしか立派なストーキングになるまで時間はかからず、相手への思慕でも何でもなく、純然たる覗き根性でこの奇怪な趣味を続けていた。
 仁科恵一は、この二月ほど追いかけている男である。
 同級生であり、顔は見知っていた。中々の男前であるが、これといった特徴も見当たらないつまらない男だと思っていたのだが、なんとなく尾けはじめたら、止まらなくなった。
 中学生と同棲。しかも家事の全ては恵一がこなし、時折冗談じみた様子で「御主人様」と恋人を呼ぶ。その声のかけ方が妙に垢抜けている辺りが、また一層そそった。
 包丁捌きは見事であり、洗濯の手際など主婦も顔負け。おまけに夜の方も優しくリードする心意気を持ち合わせており、なるほど初めてはああいう男ならば良い。
 決して理想のタイプではないし、恋愛感情にはほど遠い。しかし、眺めていて飽きないのも確かだった。
 今日なんて最高だ。いきなり妙な男を拾い、あまつさえ謎の金髪男に襲われた。
 さらに家に帰ってからはロリ巨乳が空から降ってきて、滅茶苦茶の騒ぎ。こんな妙な事件に巻き込まれるような男をストーキングせずして、一体誰をストーキングしろと言うのか。
 そして――何故か周囲の空気がマーブル模様に混ざり合い。
 綾が気付いたときには、何故か恵一の家の縁の下ではなく、だだっ広い草原だった。




「……ふむ。ここは何処だ?」
 高木がゆっくり目を開ける。底抜けの青天井と、青々とした草が生い茂る、だだっ広い草原だった。
 初めて異世界に召喚されたときも、こんな感じだったなあと思いながら、周囲を確認する。
 フィアはいないが、代わりにあの家にいた人間が全員揃っていた。
「うー、この感覚は癖になりそうやわ」
「うんうん。これイイね」
 変態二人組は健在。他の面々は流石に悪酔いしたことと、状況に対応できていないのか、目を白黒とさせている。
 動けそうなのは、美々子と刹那ぐらいだった。
「まあ、死ぬようなことじゃないしね」
 刹那は隣でうずくまる蒼子や綾華の様子を窺いながら、飄々とした様子であり、美々子はロールとソルトに刀を向け、そっと笑った。
「好都合だ。食事の世話をしてもらった人間の家を壊すのは忍びないと思っていた」
「あら、余裕じゃないの。ソルト、アンタは美々子をお願い。私が残りを引き受けるわ」
 ロールの言葉にソルトは素直に頷いて、日本刀を持つ美々子の前に素手で仁王立ちする。
「悪いね。恨みは無いけど、俺も色々あるからさ」
「お互い様だ」
 ソルトの軽い調子に、美々子もにやりと笑う。
 美々子の持って生まれた能力――ありとあらゆる魔法を無効化する左手――幻想殺しは、ロールにとっては脅威であり、故に肉弾戦の勝負が得意なソルトが美々子と相対する。
 美々子さえ封じれば、残りは巻き込まれた人間と不幸体質の被験体。精々、脅威となるのはミーシャの回復魔法であるが、攻撃力にはならないのだから、ロール一人でも十分に戦える。
「気をつけろ。ロールの魔法は多岐にわたる」
 美々子が冷静を保っている高木に声をかける。高木はふむと頷いて、ロールに注目しながらも、美々子に言葉を返した。
「粒子の集め方というのは、わかるか?」
「……先天的なモノだ。ロールは非常に肌が……その、感じやすい。それでなければ、集めることが出来ないらしい」
 美々子がやや言葉を濁す。不敵な美々子らしからぬことだと高木は疑問を覚えたが、やがて、とある解答に辿り着く。
「……性的な意味で?」
「……性的な意味で」
 美々子にしても年頃の娘さんであるから、この手の話題には少々弱い。しかし、それに対して高木は実に楽しそうに笑うのだった。
「なるほど、そいつはいい情報だ」
 ふと、高木の視線が榊と佳奈に向く。二人とも話を聞いていたのだろう。揃って最高の笑顔であり、サムズアップを高木にして見せた。
「仁科、夢守両名は美々子の援護。菅原と清水は避難。刹那は二人を身を挺して守れ。榊と大倉は言うまでもない。ミーシャはいざというときには回復魔法で助けてくれ。いいな?」
 高木の言葉に、不思議と高校生一同は素直に頷いた。ミーシャはやや不満そうに頬を膨らませるが、美々子が頷くと、仕方ないなぁと呟く。
「では行こうか。相手は二人だ。数で押せ!」
 高木の号令と共に、一斉に各々が動き始めた。
コメント
この記事へのコメント
幻想殺しww完全に上条さんwww
2009/10/06(火) 15:23 | URL | 侍二号 #-[ 編集]
悪ノリして書いただけなのにまさか本当に幻想殺しをいれてくれるとは思わなかった…
変態二人…うん。
捕まったらロールに勝ち目ないね。しかも肌が(性的な意味で)敏感とか…まさに二人にやられるためにいるキャラと言っても過言ではないw
2009/10/06(火) 16:04 | URL | 紳士という名の変態 #-[ 編集]
「夜の方も優しくリード(以下略)」って書いてあるけど……恵一。それは犯罪ではないかい?

新キャラまだいたかw
もうこれで出尽くしたのか、それともまだいるのか。
どちらにしても伊達てんてーには頑張っていただきたい。
2009/10/06(火) 19:00 | URL | 紅葉砂糖 #-[ 編集]
数で押すって高木くん。火種も火球もないとなると、能力低いやつは大変ですよー。
ソルトはまぁどうでもいいとして。やられるでしょうし。問題はロールの出方次第ですね。
2009/10/06(火) 20:43 | URL | 月月 #d3xRQPUk[ 編集]
な、なんてところで終わってしまうんだ。
続きがめちゃくちゃ気になるじゃないですか。
そして、いろいろな意味で大丈夫なんですか?幻想殺し……
2009/10/07(水) 09:29 | URL | 吉田眼鏡 #-[ 編集]
>性的な意味で感じやすい
アイツの出番ですねわかります
2009/10/08(木) 03:38 | URL | 触手lv22(窓際族) #4tXsH.Ek[ 編集]
>二号さん
 幻想殺しって何?
 無知な俺はまずぐぐることから始めたのですよ(汗

>変態さん
 そういうわけなので、超適当。
 「とある」を知らないので、こんな程度の説明しかできねえっす。

>紅葉砂糖さん
 恋愛とはそれ自体が罪なことなのかも知れませんね。

 同棲してるんだもん。ヤることはヤってるはずですよ。
 実はこの世界、三年前に地球毎、四年間凍り付いたんですよ。一瞬のことで誰も気付かず、解凍も一瞬だったし、時計とかも全部凍り付いて動かなかったんですよ。
 四年間ぐらい。
 だから、この世界の人間は自分たちが思っているよりも4つ年上なので大丈夫。

 今考えたんですけどね。

>吉田眼鏡さん
 全然大丈夫じゃないですよw

>触手さん
 ヤツの出番はもっと華々しいんだぜ?
2009/10/08(木) 18:40 | URL | 伊達倭 #-[ 編集]
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