ネットで小説を書いている人間が駄文を連ねる場所。

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 少し前に、黒衣の元ネタを紹介しました。
 で、mixiで書いてみたのですが、あのアプリ使えない。なんかとっても面倒くさい。
 そういうわけでやる気が幻滅してたんですが、ちょっとずつ頑張って書いてみました。
 ガンホーが再び迷走を始めて、筆をバキバキ折る状況。
 黒衣続編は、もうやめといたほうがいいかも。
 新作ファンタジーは設定を幾つか練り直さないと大変なことになりそう。


 そういうわけで、現状で話の構成や設定が練られているのはひとつだけなのですよね。
 いや、一応コメディでない上に、女性向けの恋愛モノも書いてたりしますが。いつ完成するかもわからんし。
 そういうわけで「外典黒衣(仮)」の一話部分です。









 突き抜けるような青空が印象的な午後だった。
 雲一つ無い秋空をぽかんと眺めながら、鵡海雄介(むかいゆうすけ)は大口を開けてあくびをかました。
 高校二年生に進級してから半年。高校生活にもすっかり慣れきった。
 中学時代に思い描いていた華の高校生活と、今現在の状況は大きく異なる。高校生になれば毎日が楽しく、彼女だってできて、幸せで充実した毎日を送ることができるだろうと根拠もなく考えていたのだが、そうそう上手くいくはずもない。
 授業は相変わらず退屈だし、県立高校で催されるイベントに心を躍らせるほどの魅力もない。ましてや彼女など夢のまた夢。
 確かに周囲ではくっついたり別れたりという話もあるのだが、少なくとも雄介の身に浮いた話がつきまとうことはなかった。
 格別に容姿が悪いわけではない。少なくとも不細工だと人から言われたことはなく、友人達の言葉を借りるならば「そこそこ男前」らしい。さりとて、密かに胸の内に秘めていた熱い気持ちをぶつけてくれる女子が雄介の前に現れることはなく、雄介もまた恋に悶々と思い悩むようなことはない。
 気の合う友達と毒にも薬にもならない話題で盛り上がる。そんな気楽で暢気な日々である。
「まあ、楽しいって言えば楽しいか」
 放課後の帰り道。高校に最寄りの陽桜駅(ひざくらえき)の広場にて、雄介はぽつりと漏らした。すると、隣でやはり暢気な顔をしていた高木聖人(たかぎまさと)は「ふむ」と頷いた。
「確かに心躍るような日々ではないが、穏やかで心地よい毎日も楽しいと言えるだろうな」
 堅苦しい口調に似合う低い声と、地味ながら大人びた容姿に銀縁眼鏡が不思議なほど似合っている。
 全体的に野暮ったく、地味な印象が拭えないが、それでも高木が周囲の目をひくのは180cmを優に超える身長のせいだろう。
 鶴のように細長い体躯は決して威圧感を与えさせないが、それでも地味さを打ち消して余りある。
 雄介と高木はクラスメイトで、一年生の頃から同じクラスだったという縁である。特別に気が合うわけでもなく、普段は他のクラスメイトと一緒に昼飯をつつくような間柄でしかないのだが、他の連中が揃って部活動に励む中、帰宅部なのが雄介と高木の二人だけなのである。
 雄介は電車通学であり、高木の家は学校から駅を挟んで反対側に位置するために、なんとなく一緒に帰ることが多い。
 もっとも、高校から駅前までの十分ほどの短い時間であり、既に駅前広場まで来てしまったので、後はもう別れるだけなのだが。
「じゃーな。また明日」
 雄介が軽く手を挙げて高木に別れを告げると、高木もまた「ああ」と軽く手を挙げる。
 後は電車で二十分ほど揺られて自宅に帰り、適当に宿題を済ませてゲームと洒落込む。それが雄介のお決まりのパターンで、今日もそのパターンで行こうと考えていた折である。
 不意にくらりと眩暈(めまい)がして、雄介は目を瞬(しばたた)かせた。
 眩暈と言っても、立ちくらみにも及ばない軽いものであり、特に気に留めるほどのことでもない。あまりにも暢気に日々を過ごすものだから気抜けしているのだろうと思った程度である。
 しかし、それでも雄介が不思議に思ったのは、目の前の風景に違和感を覚えたからだった。
「あれ……?」
 これと言って変化があるようには思えない。帰宅部の学生や買い物帰りの主婦。営業の合間らしいサラリーマンがちらほらと行き交う、いつもの駅前広場である。空は相変わらず気持ちよく晴れ渡っており、鳩が数羽、ぽっぽーと鳴いているのもお馴染みの光景だった。
 あまりにもいつも通りだった。気のせいかと雄介は頭を振って駅に向かおうとするが、それでも名状しがたい違和感に包み込まれている。
 言わば、空気が違う。どんよりと重いわけでもなく、だからと言っていつも通りのほのぼのとしたものでもない。ひどく曖昧で、決定的な何かがあるわけでもないのだが、それでも「いつもと違う」という認識だけができた。
「鵡海?」
 雄介が困惑している様子に気付いたのか、高木が踵を返して戻ってきた。
「どうした。気分でも悪いのか?」
「いや、そうじゃなくて……んー、まあいっか」
 いつもと同じなのに、いつもと違うような気がする。そんな妙なことを言い出すと変な疑いをかけられかねない。高木は決して噂話をばらまくような男ではないが、何でもかんでも言い合うような間柄でもない。
「なんでもない。ちょっと眩暈がしただけだ」
「そうか。穏やかすぎるのも考え物だな」
 高木はそれだけ言って、再び踵を返す。雄介も再び駅に向かおうとした。
 そのときだった。曖昧な違和感ではなく、はっきりと異変だと気付いたのは。
 微かな違和感はあるものの、いつも通りだったはずの風景。そこに、明らかに今までと違うモノがいた。
 雄介の前方およそ十メートルに黒い中型犬らしき動物が牙を剥いていたのである。ぐるると低いうなり声を上げて、今にも飛びかからんとする勢いである。
 散歩中の犬が興奮しているのかとも考えたが、雄介はすぐにその考えを打ち消した。犬にしては、随分と牙が発達しており、遠目から見ても不気味だったのだ。そして何よりもおかしいのは、そんな犬が突然現れたにも関わらず、誰もそれに気付いていないことだった。
 黒犬のすぐ横を主婦の二人連れが世間話をしながら通り過ぎていく。明らかに気付くはずの距離であるのに、まるでそこには何も無いかのように見える。黒犬もまた、主婦にまるで気付かないかのように、ただ雄介に向かって低いうなり声を上げているだけだった。
「なんか、変だぞ……よくわかんねえけど、おかしいだろこれ」
 黒犬も、周囲の人間も、違和感も。先程からあまりにも妙なことばかりが続いている。
 誰に言うでもなく呟いた言葉は現状をなるべく客観的に見ようという意識のあらわれだ。雄介がおかしいのか、周囲がおかしいのか。もしかすると全ては雄介の白昼夢か、幻覚や幻聴の類なのか。
 しかしそんな思考を遮るように今まで唸っているだけだった黒犬が、弾かれたように雄介に向かって猛然と飛びかかってきた。
「う、うおおっ!?」
 混乱していたところに、まるで獲物を見つけたかのように向かってくる黒犬。たまったものではない。
 わけはわからないが、とにかく逃げなければならない。雄介は咄嗟に踵を返して駆けだした。
 明らかに犬のものではない「ガアア」という奇怪な鳴き声に身が竦みそうになる。それでも、本能が警鐘を打ち鳴らしていた。
 あれはヤバい。捕まったらお終いだ。
「うわああああッ!!」
 叫びながら逃げる雄介に、周囲の人間がようやく驚いて振り返る。しかし逃げ惑う雄介を見る者ばかりで、追いかける黒犬に気付く者はいなかった。
 雄介と黒犬の距離はみるみる縮まっていく。広場を抜けて、細い裏路地に逃げ込む雄介を黒犬は正確に追いかけてくる。既に一メートルほどの距離に迫っていた。
「ガアアッ!」
「う、おわあああッ!!」
 完全に射程距離に入った雄介めがけて、黒犬が大きく牙を剥いて飛びかかる。背後の気配に雄介は、思わず手に持っていた学生鞄を振り回した。
 ぼごっという鈍い音と確かな手応えが雄介に伝わる。無我夢中で振り回した鞄は幸運にも黒犬の鼻先に命中したらしく「ギャア」と黒犬が驚いたように鳴いて、ぼとりと雄介の足下に落ちた。
「こ、こんにゃろう!!」
 恐怖に動転していたことが、再び幸いする。丁度良い位置に落ちた黒犬めがけて、渾身の力を込めてサッカーボールキックを放ったのだ。
 顎を捉えた雄介の蹴りに、黒犬は体重差もあって大きく吹き飛んだ。しかし、すぐに体勢を立て直すと再び雄介に飛びかかってくる。
 逃げるほどの距離も開いておらず、さきほどの攻撃が功を奏したこともある。雄介は再び学生鞄を黒犬めがけて打ち下ろした。
 遠心力で加速する学生鞄だが、獣の動体視力は人間のそれを遙かに超越する。ただでさえ大振りになった雄介の一撃は、あまりにもあっさりと黒犬に躱されていた。
 不味いと思ったときには遅かった。空振りによって体勢を崩した雄介に覆い被さるように黒犬が飛びかかった。
 雄介の肩口に鋭い爪が突き立てられ、ぱくりと開いた口が、首筋の頸動脈を狙って噛みつこうと迫る。
「あがッ……!」
 やられる。そう思って痛みに耐えようと眼を瞑った雄介だが、来るべき痛みはいつまで経っても訪れなかった。
 それどころか、肩に突き刺さったはずの爪も既に抜けているようで、おそるおそる目を開いてみる。
「……え?」
 黒犬はどこにもいなかった。だが、まるでその代わりかのように、目の前に一人の女性が立っていた。
 やや色素の薄い茶色がかった髪を肩口で切りそろえた、線の細い女子高生。何故、女子高生だとわかるかと言えば、彼女が雄介の通う陽桜高校指定のセーラー服を着ているからだった。
 だが、それ以上に目をひくのが彼女が右手に携えた西洋刀だ。刃渡り一メートルほどの細身の両刃剣で、映画やゲームの中でしかお目にかかれないシロモノである。
「大丈夫?」
 薄いが瑞々しい桃色の唇がそっと開き、意志の強そうな凛とした瞳が雄介の顔を覗き込む。
 見覚えがある。否、見慣れた顔だった。
「安部(あべ)……?」
 思わずクラスメイトの名前を呟く雄介に、少女はこくんと頷いた。
 安部琴美(あべことみ)。いつも教室の端っこで本を読んでいる影の薄い女子――雄介の知っている琴美のことなど、それくらいである。
 格別に浮いた存在でもないのだが、あまり人付き合いを好まない性格のようで、誰かと喋っているところを滅多に見ない。素行が悪いわけではなく、ただ大人しいだけなので注目されることもなく、雄介も日直になってプリントを回収する機会に一度喋ったことがあるだけで、半年間同じ教室にいるという接点以外は無いに等しい。
 そんなクラスメイトが何故、不釣り合いな剣を持ち、こんなところに現れたのか。
 雄介はただ、目を瞬かせるだけだった。 
コメント
この記事へのコメント
外典黒衣って、この前言ってた、黒衣のサムライの元ネタですか。
と、すると。最初を見比べてみると、オレはサムライの方が好きですね。
にしても、高木のクラス粒揃いだ。
高木が、『僕は異世界に行ったことがある』とか言っても、冗談と捉えない人が何人かはいるのではと思います。
2009/12/19(土) 03:30 | URL | 月月月 #d3xRQPUk[ 編集]
高木はどこにでも紛れ込みますね……
2009/12/19(土) 21:26 | URL | 侍二号 #-[ 編集]
>月さん
なんつうか、高木という存在が如何に自分にとって扱いやすいかを思い知らされながら書いています。
あいつが主人公だと、本当に便利すぎました。

ただまあ、今後も文章を書く上で、いつまでも高木に頼ってもいられないわけで。主人公の雄介君もちゃんと主人公らしく振舞えるように頑張ります。

>二号さん
そもそも、高木は最高の脇役として生み出した男ですから、ヤツの登場する場所に困ることはありません。

この作品含め、御主中、黒衣、かわいいひと、ガンホー。連載と名のつく場所には大体登場させることができます。
黒衣がほとんど思いつきで書いてたのに対して、こっちは正史(というか、脳内構想)での高木君でして、本来ならばこの作品で準主役として華々しい活躍をさせたかったわけで。

三話は丸々、高木が乗っ取るわけで早くも主人公面してますが。
2009/12/25(金) 23:13 | URL | 伊達倭 #-[ 編集]
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